「埼玉県最低賃金の改正決定」に対する県連会長コメントについて
2021年08月17日掲載
令和3年8月16日
埼玉県最低賃金の改正決定に対するコメント
一般社団法人埼玉県商工会議所連合会
会長 池 田 一 義
埼玉県最低賃金額の改正決定について、埼玉地方最低賃金審議会における調査審議の結果、令和3年8月5日に28円、約3%引上げとの報告がなされた。
当連合会としてコメントを発出し現行水準の維持を強く主張してきた中で目安制度開始以降最高額となる大幅な引上げとなったことは到底納得できず極めて遺憾である。
賃金の引き上げは、本来、企業の収益や生産性向上の産物として労働者に還元すべきものである。
長引くコロナ禍により極めて厳しい業況の企業が多い今年度については、事業の存続と雇用の維持を最優先にすべきであり、すべての企業に一律に強制力を持って適用される最低賃金を引き上げる時期ではない。
埼玉県に緊急事態宣言が再発出され感染再拡大が顕著に見られるなど先行きが見通せない経済情勢の中、中小企業・小規模事業者の窮状、とりわけ困窮している飲食業や宿泊業などの事業者の実態や痛みを理解していない結論と言わざるを得ない。
最低賃金の引き上げにより、多くの経営者の心が折れ、廃業が更に増加し、雇用に深刻な影響が出ることが強く懸念される。
国及び県は、コロナ禍の影響に苦しむ中小企業・小規模事業者への支援策や雇用対策に万全を期されたい。
また今後は、埼玉県最低賃金審議会専門部会がまとめた要望事項にもあるように中央審議会と地方審議会の役割分担を明確化し、経済実態を客観的に反映する各種指標・データに基づき透明性のある議論を踏まえた納得感のある結論を導き出すよう最低賃金審議会のあり方の改善を強く望む。